周回歩行がいい・八郎岳 [589.8m]
八郎岳〜乙女峠(50分)
登り一辺倒の八郎岳も、一歩一歩足を上げるごとに視界は広がり山頂の気配を感じる。
そして草地を右手へ登るとやっと
山頂
に達する。
山頂中央部には八角形のコンクリート柱が、右手には道標が立てられている。
コンクリート柱の側面には「天測点」と書かれた鉄板が埋め込まれている。
その奥には、国土地理院の白い木柱が立てられ、その足元には「一等三角点」と刻まれた石柱も立てられている。
展望は東側以外見渡せ、前方右手、南側には小八郎岳が全容を見せている。
北側には、長崎市香焼町辺りの町並みが眼下に見渡せる。
その奥には三菱重工造船所が長崎湾に広がり、巨大なドッグが小さく見える。
八郎岳は長崎市で最も高い標高を誇る山で、山名は平安末期の武将、源為朝、通称鎮西八郎が登ったことに由来するという。
鎮西八郎は、源頼朝の叔父にあたるという。
鎮西八郎は、「身長強大・性気剛気・弓をよくした」と言われるように、身長は信じがたいが7尺2寸2・18mもあったという。
しかしなぜ八郎岳を登ったのかはわからない。
鎮西八郎は、保元の乱で兄と対決して敗れて伊豆大島に島流しになり、そこで鎮西八郎は大島の島々を荒らしまわり、伊豆の領主は朝廷軍を率いて鎮西八郎を攻め自害させ、首は都に送られさらし首になったという。
しかし、鎮西八郎は大島では死なず黒潮の逆に流れる小笠原海流に乗り、琉球に漂着し琉球王の祖先になったとも言う。源為朝は他山でもその武勇を聞くが、真相は別にして伝説として記憶にとどめておけば悪いものではない。
さてここで一息つき、直進し東の方へ足を進める。
右手道標には「平山:2・7km」「小八郎岳:0・9km」「熊ヶ峰:3・9km」と案内されている。
道標の小八郎岳と熊ヶ峰の文字板はそれぞれ別の方向を指しているが、熊ヶ峰方向へ草地を下っていく。
すぐ右手に腰を降ろしたい草地もあり、程よい日陰もある。
左手には草木に隠れるように道標が立てられ、「熊ヶ峰」を案内している。
歩きやすい道は、少し下ると傾斜を増してくる。
1〜2分も下ると右手にタイヤが置かれているが、なぜこんな山中にタイヤがあるのか分からない。
道は少し傾斜をゆるめ、快適な道に足は歩幅を広げてくる。
左手に紅白のテープを見るとすぐ
右手へ分岐
する。
小八郎岳は、ここから右手へ下っていく。
分岐を右折し、落ち葉の多い狭い道を下っていく。
左手に紅白のテープを見て大きな傾斜を下ると、右手に赤黄色のテープを見る。
傾斜は大きいが、踏み跡はしっかり踏み固められ迷うことなく足を運んでいく。
分岐から2分ほど下って行くと、正面が開けT字の分岐に着く。
左手は鋭角にカーブし下っている。
右手には「Mみさき道歩会」の名で
文字板が外れた木柱
のボルトに結ばれ、左手を「熊ヶ峰」右手を「小八郎岳」と案内している。
小八郎岳は、案内板どおり右手へゆるやかに下っていく。
すぐ左手はヒノキの植林地になる。
歩きやすい道を下ると二手に別れ、左手は土の段差右手を数メートル行くと岩の段差、行く手を足に任せて下り、左手へカーブし下っていく。
途中左手に、
目印のような岩
を見てさらに左手へカーブして行く。
少し下ると傾斜はなくなり、広く快適な道になる。
快適な道は、右手に自然林左手にヒノキ林が隙間なく密生し、その間を分け入るように伸びている。
道沿いには地面に這うように、シダが道の中心部まで葉を伸ばし緑色に染めている。
快適な道はわずかばかりの傾斜で登りだし、ゆるやかに下っていく。
登山口から山頂を目指し登ってきた道から、想像もできない快適な道がここにある。
この快適な道を、一歩一歩に後退させるのがもったいなく思えてくる。
こんな想いに気持ちをゆだねるように、つい足を止め後ろを振り返ってしまう。
わずかな距離がもたらす、この一瞬が素晴らしい。
山頂で味わう満足感や達成感とは異なるが、予期せぬときにもらう快適さに重たい足が軽くなる。
少し下ると道は左手へカーブし、少しばかり傾斜を増してくる。
下りきるとゆるやかに登りだす。
斜面に付けられた狭い道は、すぐ傾斜をゆるめゆるやかに下りだす。
左手から車が通るような広い道が延び、足元の道はその広い道に吸い込まれるように合流する。
右手には、またMみさき道歩会の案内板を見る。
そして広い道をゆるやかに登って行く。
20mも登ると、右手へカーブしゆるやかに下っていく。
左手には並木のように、深い緑色をしたヒノキが絵のように視界を飾り歩行を楽しませてくれる。
快適な道
に足の疲れは一掃され、気持ちも自然の緑に浄化され足は軽快に前に出る
道には落ち葉も多く、落ち葉を踏むリズミカルな音に調子いい。
快適な道は、下草が落ち葉を覆うようにうっすらと緑色に色づいてくる。
少し下ると、快適な道は右手へカーブしゆるやかに登り、すぐ下りだす。
少し傾斜を増すとすぐ下りきり、右手へカーブして伸びる。
踏み跡は、広い道を横切るように直進して
大きな傾斜
で伸び、数メートルも登ると右手に小さな案内板か幹に掛けられ、長崎朝霧山の会の名で、右手へ「千々峠」直進を「小八郎岳へ」と案内している。
直進すると傾斜は大きいが、少しばかり登ると傾斜はゆるんでくれる。
道は斜面に付けられ、狭い道は糸を引くように伸び、ゆるやかな傾斜を登って行く。
道沿いには露岩も点在し、足元に気を配りながらほぼ平らな道を行くとまた登りだす。
右手にドッカリと座る大きな岩に、疲れを渡すように体を預けると傾斜はゆるんでくれる。
左手は深く落ち込み、バランスをとるように狭い道を右手へカーブして行く。
ここもなんとなく雰囲気はいい。
ほぼ平らな道を行くと正面が明るくなる。
正面幹には小さな案内板が掛けられ、左手を「猿岳神社をへて千々バス停方面」と案内されている。
左手に目を向けると広い草地が広がる。
ここで一息つき、右手へカーブし登って行く。
傾斜はなかなか厳しい。
左手幹には「火の用心」と書かれた案内板が目を引く。
道沿いには目印のテープも目に付く
道は狭く、うっそうとした自然林の中に露岩も目立つ。
1〜2分も急坂を登ると右手東側に展望が開け、数メートル道を外れ露岩に立つと素晴らしい遠望が得られ、気持ちも開放される。
一息ついてさらに急坂を登ると、傾斜は次第にゆるんでくる。
そして左手へ向きを変え、落ち葉の狭い道を小枝を交わしながら蛇行を繰り返し登って行くと、右手に記念碑のような岩が目に付く。
左手樹間に展望を見て、ゆるやかな傾斜を少し登ると正面が開け、さらに草地を登るとなんなく
山頂
に着く。
左手には道標が立てられ後方を「八郎岳へ:0・9K」行く手を「寺岳:2・3K」と案内されている。
道標の支柱には「緑の羽募金・緑と水の森林基金」と書かれている。
右手には「小八郎岳」と書かれた山頂標も立てられている。
右手林越しに八郎岳が展望できる。
さて適当な露岩に腰を降ろし、荒れる息を整え直進していく。
山頂広場を横切るように10数メートルも行くと右手に展望が開け、ここから
八郎岳の全容
がうかがわれる。
山頂を後に、今一度山頂を振り返り直進して草地を抜け下っていく。
道は狭く、その上両脇から小枝や草が張りだし、かき分けるように下っていく。
傾斜も大きく、さらに露岩も目立ち下りも距離は伸びない。
この辺りは松の木が多い。
急坂を2分も下り岩場に立つと、正面に展望が開け松尾岳が全容を見せてくれる。
さらに下ると
草道
になり、傾斜はゆるみ歩きやすくなる。
しかし道は草葉に隠れ、足で探るようにほぼ平坦な道を行く。
目を上げれば一部展望も得られ、気分は悪くない。
草地を2〜3分も行くと、地肌むき出す赤土の道を抜けていく。
道は少し下り、さらに平らな草道を行く。
1分余り進むと、林の中へ踏み込んでいく。
左手に
案内板
が幹に掛けられ、行く手を「乙女峠」と案内している。
すぐ、左手に白と黄色のテープを見て小枝を払いながら落ち葉の道を行く。
左手に黄色と赤のテープを見て、狭い道をゆるやかに下り左手へカーブして行く。
さらに白、赤のテープを見てゆるやかに下っていく。
少し下ると、日が差込み足元を照らしてくるが、すぐ林の中に踏み込んでいく。
左手に黄色いテープを見て左手ヘカーブし薄暗い落ち葉の道を下っていく。
すぐ、
黄色いテープ
を巻かれた枝をくぐって行く。
この辺りはテープが多い。
その木を過ぎ振り返ってみると切り残された2本の枝には、何か意味ありげに赤と白のテープが巻かれている。
落ち葉の道は、日は閉ざされ薄暗くはあるが、道は広くうっとうしさはない。
少しばかり下ると、両脇に立つ2本の小さい幹に巻かれたテープを見て、その間を抜けゆるやかに下っていく。
しっかりと踏み固められた落ち葉の道を、少し下り頭上に伸びる枝をくぐって行く。
さらに左手に赤と黄色のテープを見て、道の真ん中に堂々と幹を立てる木に触れゆるやかに下っていく。
この辺りも目印のテープが多い。
道は薄暗いが、それ以上に気持ちはいい。
左手にまた黄色いテープを見て、10m余り下り左手へカーブして行く。
すぐ、黄色と赤のテープを見て下って行く。
この辺りは二重に巻かれたテープが多い。
少し行くと、正面に日が差し込んでくる。
そして、今一度狭い緑の隙間を抜けると左手が開けるが、展望を楽しむほどではない。
狭い道を少し進み、左手の小さな幹に巻かれた黄色と赤のテープを見ると、足元に2〜30cm
に切られた小さな切り株に足を取られ、手を付いてしまう。
どうせ切るなら地面高で切ればいいのにと、一瞬思ってしまう。
すぐ左手には、小さな幹が途中で折れ、折れ口から枝が直角に伸びその枝に赤いテープが巻かれている。
目印としては、目立ったものではないし記録に載せるか迷ってしまう。
しかし、この木が10年後どんな形に育つか考えれば、赤や黄色のテープ以上に残したくなる。
ほぼ平坦な道を少し行くと、また左手に展望が空け左手後ろへ振り返ると、小八郎岳を仰ぐことができる。
草道を少し行くと、また林の中へ踏み込んでいく。
左手に目印の岩を見て、落ち葉の道を行くとゆるやかに下りだす。
少しばかり下ると目前がパッと開け、緑の草原から吹き上げてくる清らかな空気が、体全体を包んでくれる。