県境の尾根道を行く・雷山 [ 955.3m ] − 井原山 [ 983m ]
道標 → 井原山山頂(約40分)
気持ちのいい道を、右手へゆるやかにカーブして行くと、細い尾根に差し掛かり、左手に白い道標を見る。
道標には「雷山=30分、井原山=40分」と手書きで書かれている。
狭い尾根道には、さわやかな風が心地よく体をいたわってくれる。
この風に体を休めながら、ここで一服するとよい。
周辺は自然林ばかり、静まり返った、標高850メートルを越えるこの稜線でも、耳を澄ますといろんな音が聞こえてくる。
笹の葉がふれあう音・小枝がこすれ合う音・小鳥のさえずり、落ち葉を走る小虫、体内の鼓動も聞こえ、体が自然に溶け出していくような錯覚を憶える。
さて、気を取り直して腰を上げ山頂を目指す。
道は直ぐ登りに差しかかる。
道には木の根が多くなり、傾斜を増してくる
。
道の真中に立つ木は、表土を取られ、根が剥き出しになっている。
急坂を2〜3分ほど登ると、正面左手には、
大きなツゲの木
が日陰を作っている。
ツゲの木は髪をすく、くしや印鑑の材料にも使われている。
ツゲの木を左手に見て、道は左手へカーブし、ゆるやかに登っている。
少し行くと周辺の展望が開け、気持ちのいい平坦なササ道となる。
ササ道の踏み跡は狭いが、両脇ともササが刈られ、道幅は広くなっている
。
ササ道を左右にゆるやかに蛇行しながら、1分ほど行くと、左手に地中から抜け出したような岩が二つ、ここから下りだす。
道は、30センチメートルほど掘り込まれた黒い土道を下って行く。
1〜2分も行くと、正面はトンネルのように道の両脇から枝を伸ばしている。
この辺りは、淡いピンク色に咲乱れるミツバツツジが多く、五月連休あたりには、登山者を楽しませてくれる。
平らな道を10メートルほど行くと、登りに変わるが、すぐゆるやかに下り、さらに平坦な道となる。
周辺にはミツバツツジが非常に多い。
ゆるやかな登りを少し行くとまた展望の利く
ササ道
になる。
さらに、ゆるやかに右手へカーブして行くと正面に、
目指す井原山
が裾野を大きく広げ頂を見せている。
道はここから急坂を下りだす。
この急坂もミツバツツジが、両脇から枝を伸ばし、ピンクの花のトンネルとなる。1〜2分も下ると、また登りだす。
すぐ登りきり、さらに急坂を下る。
道は、路肩の一部が崩落し滑りやすくなっており、用心して下って行く。
東の方には井原山が時折、樹間に見え隠れする。
このコースで最も長い下りが続く。
下りきるとゆるやかに登りだし、1分少々で登りきる。
ここも天井が開け、気持ちのいいササ道を少し行くと、また下りだす。
少しばかり下ると、左手に
白い案内板
が立てられている。
ここは、┤字形の三叉路となっており、案内板には左手は「洗谷:5km」と案内されている。
目を左手に移すと、急斜面の岩肌が目に映る。 そこにはロープが付けられている。
反対側の南の方へ目を転じると、自然林の奥にスギ林が広がっている。
しかしスギ林はよく見ないと気づかない。
直進して平らな道を少し行くと、道は右手へカーブし、ゆるやかに下って行く。
道は、両脇の笹が2メートルほどの道幅に刈られ、その中央部が一人歩けるほどの幅に掘り込んである。
そこを少し下ると、道はゆるやかな登りとなり、さらに1分も登ると、正面が開けまた
ササ道
になる。
正面には小高い峰が待ち受けている。
気持ちのいい平坦な道を少し行くと、ゆるやかに下りだす。
下りがあれば登りは必ず付きものであるが、このコースはその間隔が短い。
例によって道はまた登りだす。
林の中に入ると、道は黒い表土が流され、
赤土剥き出しのミゾ
のような道となる。
土は、粘土質で滑りやすく、歩き辛い道に一変する。
ミゾ道はすぐ浅くなり、傾斜もゆるみ歩きやすくなる。
しかし、登りは続く。
道にはコケむした岩が所々に転んでいる。 木の根も露出している。
赤土のミゾ道から、3〜4分もゆるやかに登ると、
快適な平坦な道
になる。
平坦な道を14〜15メートルほど行くとまたゆるやかな登りになり、左右に蛇行しながら尾根道を行く。
ゆるやかな登りは、足に疲れは生じない。
それ以上に、素晴らしい尾根道を、一歩一歩登っていく爽快さが疲れを吸いとってくれる。
右手へカーブし少し行くと、左手に目印のように、
コケむした岩
が横たわっている。
この辺りの木々は、根元付近がみんなコケむしている。
ゆるやかに登っていくと、道は左手へカーブし、ほとんど平らな道を行く。
右手に大きなツゲの木が道の方に枝を伸ばしている。
道は、すぐゆるやかな下りになり、右手へカーブし傾斜を増してくる。
右手東の方には
一段と近くなった井原山
が、裾野を大きく広げ、雄姿を見せている。
山頂に通じる一筋の道もはっきりと見て取れる。
樹間にちらつく井原山の雄姿に元気をもらいながら、一歩一歩を踏み出していく。
尾根に付けられた道は、右手へ切れ落ちているが、しかし危険を感じるほどではない。
道はまたゆるやかに登り、すぐ下りだす。
正面には、目指す井原山がまた姿を見せてくれる。
下り道は、
1人がやっと通れる道幅
に掘り込まれ、2〜3分も下ると平らな鞍部に着く。
正面には井原山が大きく迫り、足元の道は目前の林を抜け、山腹を縫うように伸び、その頂に向かって伸びており、なんとなく足に力がいる。
道はゆるやかに下り、少し傾斜を増す。
すぐ平らな道となり、目前の林の中をゆるやかに登っていく。
林はすぐなくなり、展望がきく気持ちのいいササ道となる。
少し登ると、道は右手へカーブしさらに左手へカーブし登っていく。
急坂ではないが少し傾斜を増す。
平らな道から、4〜5分も登ると、正面に
白い案内板
が目につく。
ここは┤字形の三叉路となっており、左手は「井原・瑞梅寺」へと案内板に書かれている。
ここから5〜6分ほど登れば山頂に立つことができる。
山頂へはここを直進して行く。
道は急坂ではないが、足に疲れを感じながら登っていく。
表土が流されたような
赤土の道
を登っていく。
小石も目立って多くなる。
すぐ登りやすい道にはなるが、足におもりをつけたように重くなる。
道は左手北側斜面の道を、右手へカーブし、さらに右手へカーブし北東側の斜面の道を、途中足を休めながら登っていく。
道の両脇には、少し背丈のある笹が密生し、展望は得られないが、天井は大きく開いている。
天井を仰ぎながら、辛抱して登る
と山頂に達し、長いドラマはここで終了する。
山頂はさえぎるものはなく四方見渡せる。
北東側の眼下には、ビルや住宅が建ち並ぶ福岡の市街地が広がっている。
あの高い福岡タワーも眼下に収めることができる。
南の方から西の方へ目を転じると、幾重にも重なる山々の稜線が、近づいたり離れたり、また交差したりして視野から遠ざかっていく。 右手には、羽金山・浮岳等遠望できる。
山頂は、広く岩場もあり、適当な場所で昼食にするといい。
登山口へは、井原山との別れを惜しみながら往路を戻る。
帰路も目に入る光景は全く異なり、豊かな自然の風を受けながら、先を急がず時には体を休め楽しい帰路にしたい。