灌木の登路がいい・倉木山 [1155m]
倉木山頂〜ピーク(60分) [ この区間の地図 ]
山頂は、10坪余りの中央部にひと固まりの岩からなり、岩には山頂標が立てられ「倉木山 1155米」と案内されている。国土地理院の地図では、北側にあるピークを倉木山頂と記されている。
しかし、山頂らしさからいえばここをピークとしたい。
展望は四方に広がり、北側に由布岳その左手には福万山、さらに南側には雨乞山、城ケ岳を望むことができる。
城ケ岳は、山頂から東へさらに直進し、7〜80mも行ったところで
道標
を見て、右手へ下って行くことができるが、登山者が少ないせいか藪こぎを強いられる。
さて、山頂を楽しんだら分岐へ戻り、右折して急坂コースをとり下山する。
分岐を右折すると、数メートル先に九州電力の上部が赤いプラスチックに支柱が立てられ、その足元には低い石柱が埋め込まれている。
プラスチックの支柱と石柱は対になって立てられ、下山コースではこれが大きな目印となる。
すぐ左手へ向きを変え、さらに北進して行く。
すぐ正面北側には、大きな傾斜を持つピークとその背後に、黄金色に染まる飯盛ヶ城、その奥に由布岳が大きな山体を見せている。
道は、胸ほどまであるササに覆われ、両腕を船首のようにして前に差出し分け入って行く。
緩やかに下って行くと、緩やかに登りだす。
傾斜は、分岐から見たより実際は小さく感じる。
左手に、上部が赤い支柱を見るとススキに変わってくる。
少しばかり登ると、辺りはアセビが多くなる。
アセビは、春の開花を前に赤い小さなつぼみを無数に付けている。
アセビは「馬酔木」と書き、葉には有毒成分が含まれ、馬が食べると酔ったようになることからこのように呼ばれたという。
足を止め、一息つき後ろへ振り返ると、ササとススキの斜面に目がいく。
このササが覆う斜面は、防火帯の跡だという。
この防火帯跡は登山口近くまで続く。
ピークを登り切ると、正面に由布岳が、その左手には福万山が一望できる。
ほぼ平らな道を行くと、アセビの中へ分け入って行く。
さらにササ道を少し行くと、わずかばかりの空地があり、数本の支柱と2本の小さな立札が立てられている。
立札には「倉木山 1154・9m S・H・C別府」と書かれ、一方の立札には、後方を「倉木山頂へ」と書かれ、その支柱は「倉木山西頂上」と案内されている。
ここで一息つき、北へ由布岳を見ながらササ道を下って行く。
この斜面も、ササの海原のような元防火帯がどこまでも続く。
ササの海原では、その道筋は全く見ることはできない。
ただ、足の感触だけが頼りとなるが、しっかりした踏み跡にその不安は感じない。
途中、何かにつまずいてしまうが、ササをかき分け足元をのぞいて見ると、石柱が立てられている。
さらに時折岩もあり、ルンルンとはいかない。
左手には、人の背丈ほどの支柱の上部が、ササの切れ目に見えるが、身長が180センチの私にとっては、下るのに大きな支障はないが、登りは容易でない。
子供連なら、目線は隠れ難渋する。
さらに、由布岳を目指すように下って行く。
少し下ると、ササの背丈が小さくなったように視界も広がり、赤い支柱も見えてくる。
さらに、ササ道を下って行く。傾斜は少なく荒れる息を抑えることはない。
そして、右手に黄色地に赤く塗られたテープを見る。
ササ道は、飽きるほど続く。
ここのササがなければ、正面に雄大な由布岳を見て、それこそルンルンと下山できるはずである。ところがそうはいかない。
正面の由布岳は、傾斜にあわせ浮いたり沈んだりする。
途中、足にぶつかるものがあり、ササをかき分けのぞいて見ると、また石柱が立てられている。
そして、一直線に並ぶ飯盛ヶ城と由布岳を見る、
傾斜はこの辺りから次第に増してくる。
しかし、急坂ではない。
赤い支柱を見て、右手へ少し向きを変えると傾斜はさらに増してくる。
大きな傾斜は滑りやすく、ススキの穂先を握って下って行く。
すこし下ると、やっとササは遠のき傾斜は緩んでくれる。
さらにススキの中を下って行くと、路面が見え歩きやすくなる。
踏み跡に、また石柱を見る。
少し行くと、灌木が多くなる。
灌木の中は、落ち葉で踏み跡は消され赤いテープが目印となる。
登山者の足で踏み起こされた黒い土も目安となる。
ただ、この黒い土も線を引くように、1本の踏み跡が伸びていくようなものではない。
登山者に、踏み起こされた黒い土を避け、歩きやすい落ち葉の上を求め、脇へ脇へと次第にその幅は広がり、本筋が薄れてしまっている。
落ち葉の道は次第に傾斜を強め、それに合わせ滑りやすくなる。
そして、赤いテープを確認しながら急坂を下って行く。
急坂は、写真で想像するよりかなり大きく、下りづらい。
幹から幹へ渡るように手を伸ばし、数メートル下るのにも苦労する。
急を要してつかむのが、とげのある野バラであったりする。
踏み出す一歩を間違えて、次の一歩を出せず立ち往生することもある。
ここは軍手がほしい。杖もあれば尻もちつくのを免れる。
なかなか、この急坂コースは手ごわい。
途中、右手のヒノキに巻かれた赤いテープを見て、左手へ向きを変えて行くと、幾分傾斜は緩んでくる。
しかし、それもつかの間、幹に張られた黄色いテープを見て、さらに急坂を下って行く。
右手には、傾いた赤い支柱を見る。
支柱は、登山者が滑るのを防ぐため、必死になって助けを求め体重をかけた、その証のようにも見える。
この赤い支柱を見ると、傾斜は緩み少しは踏み出だしやすくなる。
しかし、落ち葉の道も水分を含んだ真黒い土に、一機に足を取られ油断ならない。
さらに用心して落ち葉の道を下って行くと、傾斜は次第に緩んでくる。
そして、ここにきて急坂の緊張もほぐれ、水を得た魚のように足は自由に前へ出る。