自然林の稜線がいい・白髪岳[1416.7m]
登山口〜木橋(15分) [ この区間の地図 ]
林道は、登山口で封鎖され、林道空地に駐車する。
登山口には、シカ防虫ネットの説明板や、水源かん養保安林の説明板が立てられ、その隣には登山者の記帳箱も設置され、必要事項を記入する。
登山道入り口には木柱が立てられ「猪ノ子伏まで510m 火の用心」と書かれ、右手には、「美しい自然を汚さない様に空缶 瓶 屑は持ち帰りましょう」と案内され、足元には人吉山の会の小さな立て札も立てられている。
白髪岳植物群保護林保全緊急対策事業(シカ防除ネット設置)
1 目的
当保護林は、熊本県球磨郡あさぎり町南部に位置し、猪ノ子伏と白髪岳及び国見岳を結ぶ稜線を中心にまたぐように広がっており、標高800m以上の標高地にあって急斜面地となっている。
本地域は、モミ・ツガ等、多種の立木で構成された高齢天然林の針広混交林であり、我が国でほぼ南限に近いと言われるブナ林でもある。
本事業は、近年の様々な影響による植生の劣化、生育環境の悪化等により緊急に保護措置が必要なものに対して保全対策を講じるものであり、原因のひとつと考えられるシカ食害を防止するためシカ防除ネットを設置し、生態系の保全と植生回復を図る事を目的とする。
2 設置場所 白髪岳国有林2001林班ほ3小班
3 設置規模 延長 1000m
登山者の皆様さんへ
シカ防除ネットはとても見えにくくなっておりますので、通行される場合は、十分足元にご注意ください。また、ネット内に入られる場合は、入り口を数ヵ所設けてあります。出入りの際はきちんとネットを閉めてください。ご協力をお願いします。
さて、支度を整え木柱の右手を登って行く。
すぐ左手へカーブし、ミゾ状の道をゆるやかに登って行く。
30mも行くと、左手に
「ヤブツバキ:ツバキ科」の樹名板
を見て、5〜6mも行くとミゾ道は浅く歩きやすくなる。
さらに5〜6m行くと「もみのき:マツ科」の樹名板を見る。
樹名板には「白髪岳の山々を守る会」と書かれている。
ゆるやかな傾斜を登って行くと「エゴノキ:エゴノキ科」の樹根板を見る。
樹名板は、山頂に至るまで各樹木に付けられ、几帳面過ぎるがこれを省かずその大半を記録した。
そして
倒木
をくぐって行く。
記録に集中していると人の気配にドキッとするが、気持ちを抑え狭い道を譲り快適な道をゆるやかに登って行く。
さらに「コガクウツギ」の樹名板を見て、右手へカーブして行く。
道沿いには、派手な緑色をしたバイケイソウが目を引く。
さらに右手にコガクウツギの樹名板を見ると、道はまた
ミゾ状
になる。
しかし歩くのに支障はない。
少し行くと道沿いにはバイケイソウが多くなる。
そして倒木の段差を登ると、バイケイソウの群落が広がり、左手に立て札が立てられユリ科で有毒と書かれている。
バイケイソウは、根も葉も茎も有毒で煮ても焚いても湯がいても、さらに揚げても毒性は消えず、自然食志向が強まる中で、おすそ分けでもらい徳(毒)し中毒を起こすことも多いという。
しかし、見るだけなら鮮やかな緑色に気も晴れる。
少し行くと、ミゾ道は倒木で遮断され右手に脇道が付けられている。
その脇道も少し行くとまたミゾ状になる。
ミゾ道を右手へカーブすると、左手に「カナクギノキ:クスノキ科」の樹名板を見る。
さらに根っ子の段差を登り10mも行くと、左手に
大木の枯株
を見る。
辺りは小径木の自然林が広がり、右手自然林の奥には植林地が広がってくる。
ミゾ状の浅い道をゆるやかに登って行くと、左手にまたカナクギノキの樹名板が幹に掛けられている。
カナクギノキは「金釘」ではなく、老木になると樹皮がボロボロにはがれ、その模様が鹿の子に似ており「鹿ノ子木」がなまってカナクギノキと呼ばれるようになったという。
6〜7mも行くと左手に
立て札
が立てられ「火の用心 1/14 上球磨消防署」と書かれている。
1/14はこの立て札が1本目で、14本目で山頂に達しいい目印になる。
さらに、ゆるやかな傾斜を小さく蛇行し10mも登って行くと、右手に「やぶつばき:ツバキ科」の樹名板を見る。
さらに10mも行くと「うりはだかえで:カエデ科」「やはづあじさい:ユキノシタ科」の樹名板を見る。
この辺りは樹名板が多く学習になるが、似たような樹皮が多く記憶にとどめられないのはどうしようもない。
そして、ゆるやかな傾斜を快適に歩を進めていく。
快適な道を少し行くと、左手に「いぬがや:イヌガヤ科」の樹名板を見る。
道沿いにはまたバイケイソウが多くなる。
バイケイソウは毒があることを知ると、近づき難くなるが、秋には小さなかわいらしい花を咲かせるという。
道は支尾根に向かって右手へゆるやかに登って行く。
左手に
バイケイソウの立て札
を見ると、少しばかり傾斜を増してくる。
少し登ると道は右手に分岐、どちらを取ってもいい。
直進すると道はさらに傾斜を増し、支尾根へ急坂を登って行く。
すぐ登りきり、右手へ分岐した道と出会い、T字の三叉路を左手へ折れ支尾根直下のほぼ平らな道を行く。
この支尾根もバイケイソウが早春を彩ってくれる。
右手に大きく枝を広げる木には、「あかがし:ブナ科」と書かれた樹名板が掛けられている。
すぐ道際に
縦形の立て札
が立てられ「立って一ッ時 直休」書かれ、「立っていっとき」と読んで、立って少々休めという意味なのか、そして、「直休」とは「すぐ休め」という意味なのかはっきりしない。
左手には「みやましきみ(有毒):ミカン科」と書かれた立て札を見る。
秋には深い緑の葉に想像もできないような、真っ赤な実が目を引く。
ミヤマシキミは山に生えることからこの名が付いたと言われ、ちなみに「シキミ」はもくれん科に属するという。
ここから右手へ向きを変えミヤマシキミの中を抜けると、道はミゾ状になり深い自然林の中に伸びる。
10m足らず登ると左手へカーブし、尾根筋を行く。
道沿いには、バイケイソウが地面から噴出すように芽吹き、みずみずしい緑色を放っている。
さらに枯れた倒木をよけていく。
道沿いには白いテープが目立ってくる。
そしてS字状に蛇行して行くと、左手に火の用心の2/14番の立て札を見る。
まだまだ先は遠い。
道は少し傾斜を増し、根っ子むき出しの道を行く。
さらに、ミゾ状の荒れた道を少し行くと、正面幹に「シラキ:トウダイグサ科」の樹名板を見る。
シラキは、材が白いところからこの名が付いたらしい。
この木も秋には材に似合わず、葉は赤く紅葉する。
この辺りは大木が多く、赤い樹皮を見せるヒメシャラも目を引く。
少し行くと「ひめしゃら:ツバキ科」の樹名板が掛けられ、すぐ先に幹の直径が80cmもあるような大木を見る。
しかし、見上げると立ち枯れてしまったように見える。
そして、狭いミヤマシキミの生い茂る道を行く。
その小枝を掻き分けるように行くと、左手に浮いた大木の株を見る。
すぐ右手に「やぶつばき」の樹名板を見ると、また
枯れた大木
が天を突き刺すようにそびえている。
その奥の方にも立ち枯れた大木が目に入る。
すぐ、ヒメシャラの倒木を乗り越え、さらに枯れた倒木をまたいで行く。
左手に
「ヒメシャラ」の樹名板
を見て、右手へさらに左手へ倒木を踏み越えていく。
この辺りも立ち枯れた木が多い。
立ち枯れた大木に触れ、ゆるやかな傾斜を登って行くとまた「ハイノキ:ハイノキ科」の樹名板を見る。