奇岩と福寿草の山・仰烏帽子山[1301.8m]
仏石分岐〜仏石頂上〜福寿草群落〜仏石分岐(60分)
スギ林に入ると分岐に着く。
分岐には道標が立てられ、仰烏帽子山頂は右手へ1・5km、仏石は直進して0・5kmと案内している。
さらに、元井谷まで4・5kmとも案内している。
左手には、「ケガに用心 火の用心」と書かれた案内板が立てられ、右手には赤い道標も立てられ、山頂を案内している。
ここで一息つき、山頂に立つ前に直進して仏石へ行くこととする。
道は直進して、スギ林の中をゆるやかに下っていく。
スギは、伐採期に近いような大きく育った木も多い。
左手斜面には、コケむした石灰岩が隙間なく地面を覆いつくし、貫山を思い出すが貫山の石灰岩にはコケはない。
斜面を横切るようにスギ林の道を行くと自然林に変わり、ゆるやかな傾斜を登って行くと右手が開け
仰烏帽子山へ連なる稜線
が見え出す。
すぐ、道は左右上下に分岐する。
どちらを行ってもいいが、右手へ数メートル下ると「キハダ」の樹木板を見る。
道は、分岐して10数メートルも行けば1本になる。
この辺りまで来ると、仏岩で展望を楽しむ登山者達の声が聞こえてくる。
道は少し傾斜を増し、左手へカーブしながら尾根筋へ登っていく。
右手に「モミ」の樹木板を見て木の根の段差を登り、さらに左手へカーブし登っていく。
右手に、仰烏帽子山の稜線を見ると岩ばかりの尾根筋に達する。
道はないが、右手へ2〜3メートル自然林の中を行くと、樹間に仏岩を眼にすることができる。
ここから、岩稜を横切るように岩場を下っていく。
左手には安全ロープが付けられ急坂を下ると、右手樹間に仏岩に腰を降ろす人影が確認できる。
さらに急坂を下る
と、右手に「カヤ」の樹木板を見て根っ子の段差を降り、すぐ右手へカーブし急坂を下る。
この辺りは、4月に白い花を咲かせるアセビが多い。
さらに輪切りにされた倒木の先から、左手へ向きを変え急坂を下り
狭い岩場の隙間
を下っていく。
左手岩壁には、真新しい鎖が張られている。
岩場を下りきると右手へカーブ、すぐ仏石直下の狭い空地に出る。
右手足元には、「人吉山の会」の小さな案内板を見る。
空地はT字形の分岐になっており、左手は福寿草の群落に通じる。
ここを右手にとり、仏石の基部をゆるやかに下っていく。
リックは、適当な場所に置いて身軽に仏石を目指してもいい。
すぐ左手へカーブしながら仏石を登っていく。
左手に、岩壁を這うような幹を見てすぐ左手へ岩壁に取り付く。
岩場は滑りやすく、足の踏み場は狭い。
右手ロープを手に、一歩一歩足場を確認していく。
幸い、岩場に根を張りかろうじて幹を立てる木に助けられる。
さらに30センチメートルにも満たない狭い道を右手へ巻いて、岩壁を横切るように登っていく。
すぐ左手へ岩場を登ると仏石の上に立つ。
仏石突端には、
小さな祠
が安置されている。
仏石からの展望は四方さえぎるものはなく時を楽しむことができるが、狭く足場も不安定で、特に花時は次の登山者に譲らざるを得ない
足元より100メートルほど高い仰烏帽子山は西側に、北側には切れ落ちた絶壁に取り残されたような1個の岩がオブゼのように居場所を保っている。
展望に感嘆し、不安定な足場に気を緩めると危険極まりなく、ひと時を楽しんだら場所を譲って、分岐へ戻る。
岩場は、下りも気は抜けない。
さて、時間があれば仰烏帽子山登頂前に福寿草群落へ足を伸ばせばいい。
福寿草群落は、分岐を直進するように両脇に張られたロープの間をゆるやかに登っていく。
しかし、足は道沿いに咲く黄金色の福寿草に目を取られ、一歩一歩が進まない。
右手に岩をわしづかみするような木を見てゆるやかに登っていく。
少し行くと道は傾斜をゆるめ、辺りは深緑色にコケむした石灰岩に覆われてくる。
福寿草は、夜空に輝く星のようにひっそりと点在する。
道は、その石灰岩の隙間を縫うように付けられ、ゆるやかに下り始める。
右手にスギ林が現れると登りだし、スギ林の中へ踏み込んでいく。
スギ林の中には石灰岩は見られず、福寿草もなく傾斜は大きい。
さらに、雨後はぬかるみ、靴やズボンの裾を汚してしまう。
スギ林の道は、ぬかるみを避けた登山者の踏み跡で幾筋か見られる。
スギ林の左手奥には石灰岩の尾根が南北に伸び、左手へカーブしスギ林の道を避け石灰岩が折り重なる尾根の縁を右手へ登っていく。
石灰岩の道
にはロープが張られ、深緑色の石灰岩を福寿草が彩っている。
石灰岩の道を4分余り登って行くと、スギ林の道と出会いさらに左手へ登っていく。
辺りにスギ林は消え、歩きやすい快適な道をゆるやかに登っていく。
左手
石灰岩と共生する福寿草
を見ながら1〜2分も行くと正面が開けてくる。
右手東側に展望が得られ、格好の休憩所に着く。
花時ここは、多くの登山者で賑わいを見せる。
花のせいか、登山者の顔は微笑み明るい。
ここで一息つき、腰を降ろし疲れた足を投げ出せばいい。
ついでにリックを下ろしてもいい。
福寿草の群落は、すぐそこにある。
早く見たければ、直進しスギ林の中へ入っていく。
不安がなければ、リックは置いて福寿草群落へ足を伸ばせばいい。
群落は、行きは下り帰りは登りとなる。
左手に倒木を見てスギ林の中をゆるやかに下って行く。
少し下るとスギ林はなくなり、辺りは自然林に変わる。
左手コケむした石灰岩の中に、惜しげもなく福寿草が満開し登山者を迎えてくれる。
すぐ左手には「足元の福寿草に注意」と書かれ、ロープが張られている。
福寿草
は、落ち葉の中だけではなくコケむした岩にも花を咲かせている。
数年前までお店で買った福寿草を庭に毎年植え付け花を楽しんでいたが、翌年何故か消えてなくなる。
根は「ラン」の根のように大きく、どうして岩を覆うコケに根を伸ばしているのかわからない。
道は少し傾斜を増し下っていく。
左手石灰岩の斜面一面に咲き乱れるお花畑は、200メートルほど続く。
花時この道は、あちこちでシャッター音が聞かれ、行き通う人で混雑する。
ここは、九州最大のお花畑で次代へ引き継ぎたい。
福寿草は、晩秋に芽を出し、2月下旬から3月初旬に花を咲かせ、6月頃になると葉も茎も消え地表から姿を消す。
種子から花を咲かせるまで5年以上もかかるという。
福寿草は別名「元日草」とも呼ばれ新春を祝う花として、また福を招く縁起花として好まれる。
南天とセットで「難を転じて福となす」と、縁起物として飾り付けする地域もあるという。
根は漢方薬に取り上げられているが、毒性があり盗掘はケガの元になる。
花は、向日性で陽を追って40度近く首を振り、日陰になればしぼんでしまう。
黄金色の輝きは、虫を呼び込む道具で交配によって結実するのだという。
さて、お花畑を楽しんだら仏石分岐へ往路を引き返す。
途中、
仏石
の全容に足は止まってしまう。