のんびりと歩行が楽しい・目丸山 [1341.3m]
分岐 → 目丸山(約25分)
この三叉路は、目丸山への主稜を案内板に従い右手に取る。
ほぼ平坦な道を数メートル進み、
数本の枯れた倒木
をくぐっていく。
平坦な道を蛇行しながら行くと、右手に台風に倒されたのか
大きな木が株の裏側
を見せている。
気持ちのいい稜線の道
を1〜2分も行くと、道は右手へカーブしゆるやかに下り始める。
そこには、足元に低くロープが張られ、その支柱に白い案内板が付けられ「足元注意 かわいい野草ふまないで」と書かれている。 このロープは、以前はなかったが「カタクリの花」が知られるようになり張られたものであろう。
道はすぐ傾斜を増し急坂を下っていく。
「とっていいのは写真だけ 残していいのは歩道の足跡だけ」と書かれた同形のパネルを見るとすぐ傾斜はゆるみ、分厚く積もる落ち葉の道を快適に歩いて行く。
右手にヒメシャらを見ると、右手に「モラルとマナー守って また逢える日を楽しみに」と書かれている。
右手には、
輪切りにされた倒木
が集められたように、重なり合っている。
道はまたゆるやかに下り始める。
少し下ると、ロープは見られなくなる。
右手には、また倒木が赤土を抱きかかえるように
根株の裏側
を見せている。
道は少し傾斜を増し下っていく。
しかしすぐ傾斜はゆるみ、右手にコケむした倒木を見て大木の右手をゆるやかに下ると、右手にはまたロープが張られている。
さらに、右手に大木を見て1〜2分も下ると鞍部に着く。
鞍部に着いたら一息入れるといい。
林の中に広い空間が広がり、気持ちはいい。
ここにはロープが左右に付けられ、道はその間を右手へカーブし登っていく。
左手角にはまた白いパネルが付けられ「この柵より先に入らないで 野生植物の保護にご協力を」と書かれている。
ロープで区切られた道は、少し登ると傾斜を強めてくる。
右手に大きなヒメシャらを見て登ると、すぐ
木段
になり8段ほど付けられている。
さらに、木の根の階段を登っていく。
そして左手に大木を見ると傾斜はゆるんでくる。
右手にはまた「モラルとマナーを守って また逢える日を楽しみに」と書かれた
パネル
を見ると傾斜を増してくる。
すぐ
木段
となり、8段ほど登るとまた木の根の階段となる。
ここを登りきると傾斜はゆるんでくる。 右手には「足元注意 かわいい野草ふまないで」と書かれている。
この辺りには、3月下旬から4月にかけて「カタクリ」の花が咲く。
花は、スイカの皮のような2枚の葉の間から茎を伸ばし、紅紫色の可憐な花を下向きに咲かせる。
花びらの裏側を見ると、桜の花びらに似た黒い線がある。
カタクリ粉は、通常ジャガイモのでん粉から作られるが、昔日この茎をすりつぶしてカタクリ粉が作られたと聞く。
花は太陽に敏感で、朝になり気温が上がると花を咲かせ、夜になると花を閉じてしまう。
昼間でも雨が降ると閉じてしまう。
時折白い花も見るというが、探すのは至難の業といえる。
カタクリの花は、種子から開花するまで数十年もの歳月がかかるというがはっきりしない。
大友の家持の【もののふの】で始まる歌はカタクリの花を歌ったものだと言う。
さらに、木の根が多い急坂を登っていくと、すぐ傾斜はゆるみ、ロープもなくなる。
周辺には大木が随所に見られる。
もののふの 八十娘(やそおとめ)らが
汲み乱ふ寺井の上の堅香子(かたかご)の化
大伴家持
道はさらに傾斜をゆるめ、ゆるやかな登りになる。
ほぼ平坦な落ち葉の道を、右手へカーブして行くと、右手に
宙に浮いた倒木
が目に付く。
気持ちのいい道を、少し行くとまた両脇にロープが張られている。
途中右手足元に「柵の中に入らないで下さい 内大臣自然を守る会」と書かれた
木製の案内板
が地面に落ちている。
さらに落ち葉の多い平坦な道は続く。
この辺りの稜線も快適な歩行が楽しめるが、台風の影響か小枝が散乱している。
少し行くと、右手ロープを支える支柱に
案内板
が付けられ「あなたも野草も地球の仲間 野生の動植物を大切に」と書かれている。 自然に感謝しながら、この標語は心から同調する。
すぐ右手にも「取っていいのは写真だけ 残していいのは歩道の足跡だけ」と書かれている。
すぐ先には、左手に矢部営林署により警告板が立てられている。
小さいパネルと意味合いは変わりないと思うが、気持ちは小さい方に働く。
すぐ左手の曲がりくねった倒木が、完全に道をふさいでいる。
野生植物の採集を禁ずる
この地域一帯は、県の条例により特定稀少野生植物保護区に指定され野生植物の採集が禁じられています。 条例に違反して採集すると「6ヶ月以下の懲役または20万円以下の罰金」に処されます。また、この一帯は、国有林で水源かん養保安林にも指定されています。 県内の貴重な野生動植物の保護に御協力ください。
矢部営林署
熊本県環境公害部環境保全課
熊本県上益城事務所林務課
ここを左手へロープを越え、倒木の中を進んだ登山者の跡もあるが、倒木の手前から右手へ下り、その倒木の幹先を回り込んだがいい。
台風の影響は大きく、無惨な光景がいたるところに見られるがどうしようもない。
すぐロープの道に出会う。
左手には、道をふさいだ大きな倒木が、赤土を抱え込み株の裏をむき出しにし、死に至る姿を見せつけている。
これらの木は再び生を受けることはない。
ほぼ平坦なロープの道を行くと、すぐ
倒木
をくぐりまた左手へロープをはずれ、道をふさぐ倒木をよけていく。
倒木を過ぎると、また落ち葉の
歩きやすい道
になる。
台風以前のこの稜線歩きは、大きな起伏もなく、素晴らしい稜線歩きができたが、台風以後倒木に気をとられその気分が味わえない。 しかし、時が立てば人と自然の力が働き、素晴らしい道に変わっていく。
右手に目をやると、
ヒメシャラ
までもが中ほどからぽっきり折れてしまってくる。
さらにゆるやかに登っていく。
道は
コケむした倒木
をよけるように、左手へカーブすると、また道をふさぐ倒木を見る。
少し行くと、正面に山頂標が見えてくる。
山頂は、矢部営林署の警告板から10分ほど歩いたところにある。
山頂は、特別高くなっているものではなく,平らな稜線を行く途中の通過点のようなもので、山頂を示す標柱がなければ分からない。 山頂はわずかばかりの広場になっているが、ロープで十字路に区切ってあり、好みのところで腰を下ろすことはできない。
展望は、自然林に覆われ得られない。
道は、直進して伸び、京丈山へ通じる。
今回登ったのは、台風直後であり大きく荒れていたが、本来目丸山は展望を楽しむというものではなく、静かな自然林の道を楽しむものであり、清らかな自然の美しさ・優しさを全身に受け、山歩きの魅力を教えてくれる山と言える。
痛ましい台風のつめ跡は、他に至る所で目に付くが、自然の猛威にはどうしようもなく写真だけ追加した。
今回の記録は台風の被害調査になってしまったが、何時か本来の目丸山の記録を加筆したい。